天野君の鳥だより '97.5.31〜7.27

'97 5/31  神奈川県藤野町でのんびり鳥見。ブッポウソウチゴモズもペアで忙しそうに飛び回っていた。サンコウチョウも鳴き乍らよく♀を追っていた。相模湖にはカワセミイカルチドリが遊んでいる。上空にはハチクマが舞い,アオバトの群が横切る。帰化鳥ガビチョウの数が多く,最近ではホトトギスの托卵を受けるほどいるそうである。…やたらホトトギスがいると思った…。
'97 6/7  茨城県浮島に遠征。オセッカコジュリン等分布が局地的な連中を楽に見つけることが出来るが,最も貴重なオオヨシゴイが遂に今年は渡来しなかったようだ。残念。越夏中のチュウヒがふわりと舞う。お前何しとんねん。冬鳥ちゃうの?翌日は印旛沼に行きサンカノゴイをゆっくり見て,多数のヨシゴイに送られるように帰った。
'97 6/26  神奈川県葉山町。夜明け前に到着してしまい,夜が明けるのを待つ。白みはじめた空を見つつパンをかじっていると,何かがフワフワ飛んできた。ゴイサギやろなっと思って双眼鏡で見ると,…ブッ,フクロウじゃないっスか。パンをほおばったまま「ブグボウ!!(フクロウ!!と言っているつもり)」と仲間に知らせるが,「ブグボウ」じゃわからんので指で示す。パンを飲み込み,「フクロウや,あれ」と言った頃には彼方へ。明るくなったので山道を少し歩くと,今年もサンコウチョウがその声で迎えてくれた。姿を探していると,ガサガサ!!と樹上に動くモノが。タイワンリスか。ん?何かヒラヒラがくっついている。げっ,サンコウチョウの♂や!なぜかタイワンリスを追いかけてシバくとは…。気が強いとは聞いていたが哺乳類に楯つくとは…。帰りにカワセミの家族を見てから授業に出るべく学校に向かったのだった。時計は午前7時であった。なぜ平日に来ちゃったんだろうか…。
'97 7/27  長く苦しいテスト期間も終わり,私は真夏の沖縄へと旅立った。もちろん有り金をすべてはたいて飛び立った。眼下の台風9号を飛び越え,南国の太陽の下へ「渡り」である。空港から港に出てオオアジサシを見物。デカイ。こいつホンマにアジサシか。一歩間違ったらカモメやないか。経費削減のためここで野宿しよ〜と思ったら,警備員のオッサンに怒られて追い出されてしまった。さすが石垣島。西表だったら誰にも見つからないんだけどなぁ。

 仕方なく民宿で朝を迎えた私は,2日前に出発した友人と合流するため朝一番で西表に渡った。途中船からはアナドリマミジロアジサシが時々見られ,ベニアジサシエリグロアジサシの真っ白い翼が真っ青な海に映える光景は,この世のものとは思えない美しさだった。エリグロの白さは透き通るかのようで,見る者の目を奪い,ベニアジサシの嘴の紅色はまるで網膜に焼き付くようだった。涙と鼻血はもちろん,船に弱い人はもっと余計なものも流せます。ゲロゲロって…。

 さて,港で友人達と合流して白浜方面へ車を走らせる。「アカショウビン見た?」と聞くと「いやあ,うじゃうじゃいるよ。」とのこと,噂は本当だったのか…。私は森の方に目を向けた。白浜旧道に入り薄暗い森が我々を包み込むと鳥が多くなった。キンバトズグロミゾゴイもここで見られた。しかも毎日。朝夕だとサンコウチョウもいる。リュウキュウキビタキもいる。水田でリュウキュウヨシゴイムラサキサギやおなじみシロハラクイナカンムリワシといった連中に再会した。陽が傾いてきた頃,県道を走っていると電線に赤いモノが。「おわっ,アカショウビンや!!」と,興奮しているのは私一人。あとの2人はもう見飽きたっちゅう顔で見ている。日中は森に入っているが朝夕なら簡単に姿を見ることが出来,この日も普通に一本しかない県道沿いで5羽くらいのアカショウビンに会えた。

 日が暮れるとセレベスコノハズクアオバズクの登場。サキシマハブも登場。翌日も朝に白浜旧道でアカショウビンキンバト等に会い,日中は海で泳いだ。あまりの暑さと太陽からの殺人光線の下で,元気なのは地元の子供とシロラハラクイナくらいかな…。30日は船を出してもらい,ネッタイチョウを探しに仲之神島へ。島は海鳥繁殖地として保護されており,上陸は許されていない。いざ船で島の近くまで来ると数万羽の海鳥が島も海も空までも埋め尽くしていた。セグロ,マミジロ,クロ等のアジサシ達は,人間なんて見たこともないらしく手の届く位置でホバリングしつつ首をかしげたりする。カツオドリの若鳥もすぐ近くに来る。友人はカメラのファインダーから鳥がはみ出すと言って嬉しいんだか悲しいんだかわからん表情をしていた。

 島の上の方にはアカアシアオツラカツオドリが白い巨体を見せつけるようにして座っていた。結局海鳥まみれの3時間で,ネッタイチョウはいなかったけれど,私にとっては夢のような3時間だった。鼻血の出しすぎで死んでもいいと思った。(それはあかんやろ)結局西表を去ったのは8/1であったが,ツルクイナを見たり,シロハラクイナの雛を保護したり,色々なハプニングがあった。また車の前をミフウズラが横切って走っていった。西表では個体数が減少している上に,小さくて藪に潜っているのでけっこう見づらい奴だ。一週間足らずの滞在で見れたのはかなりラッキーかもしれない。

 今回,夏の沖縄は初めてだったが,春(3月)よりキンバトズグロミゾゴイは全然見やすかったと思うし,夏鳥のアカショウビンサンコウチョウ,それにアジサシ類やカツオドリ類に完全に魅了されてしまった。コバルトブルーの魚をくわえて飛ぶエリグロアジサシなんか美しいなんてもんじゃないし,やはり今でも目に焼き付いているのは海上のベニアジサシかなぁ。ちなみに当会の3月の探鳥会で泊まった「西表アイランドホテル」の前の電線にもアカショウビンが止まっていた。(アカショウビンが「泊まっていた」やったら,私より金持ちです。)帰りは貧乏人らしく船で東京まで帰った。3日位かかった。海上はオオミズナギドリオーストンウミツバメでにぎわっており,ハナゴンドウやバンドウイルカ等の鯨類もよく現れていた。

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