天野君の鳥だより   '98 9/23〜10/01
'98 9/23
千葉県谷津干潟
 谷津干潟にヒメウズラシギが出ているという話が一週間前から流れていたが、当時マジメな学生さんだった私はこの日まで谷津干潟にいけないでいた。この日にやっと都合が付き、出掛ける事が出来た。普通渡り途中のシギは3日もいればさっさといなくなることが多い。しかしヒメウズラシギは一週間ぐらい滞在するという話がよくあるので、期待して電車に乗った。

 谷津干潟につくと祝日であることも手伝ってたくさんのバーダーが探鳥していた。サギ類や渡ってきたばかりのカモ類が目に付く。シギはコオバシギアカアシシギといった少し珍しめの種類も来ているほかはダイシャクシギホウロクシギトウネンソリハシシギキョウジョシギオオソリハシシギといった普通種もそこそこ見られた。観察センターの手前の干潟でシマアジが一羽もじょもじょしてた。自分で何が口に入っているのか分かって食ってんのかな?さて問題のヒメウズラシギはどこでしょう?そのへんのおっちゃんとかに聞いても今日は見ていないという。ギャース。そりゃあねえぜ、セニョリータ(←?)。

 とりあえず希望は捨てずトウネンの群れをしこたま見る。見る見る見る。いっぱい見る。どうみてもトウネンばっかりだ。いない。うう・・・討ち死にはいやだぁ・・・。と、そこで某有名HPの凄腕バーダーのく○がいさんに出会う。「く○がいさん、今日ヒメウズ見ました?」と聞くと「ああ、見ましたよ。さっき向こうで。」がはあぁ!!神様のバカァー!!とりあえずデジカメで今日撮ったばかりのヒメウズ画像を見せてもらい、泣きそうになって情報を集めるうちに東京農工大学の一年生と知り合った。知り合ったというかついこの前の小笠原で会った人だった。そんな彼と一緒に鳥見をしていると、そのへんのおじ様のケータイが鳴った。船橋海浜公園にオオアジサシが出たらしい。気配のないヒメウズラを見捨て、カメラマンたちはどんどん船橋へ流れていく。ううん・・・。どうしよ・・・。とりあえず農工大の彼が車で一緒に行きましょうと言ってくれたので船橋へ向かう。着くともう干潟に人がたくさん入ってオオアジサシを見ている。なんか近づき難い雰囲気だー。そこそこ見て適当に納得すると、農工大君は先輩か誰かにオオアジサシを教えなきゃとか言って私を谷津干潟に送ってくれて帰ってしまった。

 とにかく今日見られている以上ヒメウズラを諦められない私は干潟をぐるっと歩いて対岸のシギが集まるポイントでヒメウズラ君を探していると、なにやら対岸の一箇所に皆が集まっている。っきゃー!「出たに違いない!」ダッシュして駆けつける。みんながカメラを向けている。最寄のおばちゃんに「出ましたか!?」と聞くと「うん。コシャクシギ。」・・・えっ?コシャクシギィ??なして?こげな干潟にコシャクシギ?チュウシャクの幼鳥ちゃうの?と思いつつ見てみるとばっちりコシャクシギだった。うーん。嬉しいような悲しいような。結局このコシャクは30分ほど採餌して、「ピピピピピー」とか言って飛んでった。はぁ。ヒメウズラはどこなの・・・。泣きそうになりながらその辺をヨチヨチあるいていると、観察センター前の干潟にトウネンの群れが。プロミナーで見てみると、ん?一羽だけ変な奴が混じってる。いたぁー!!ヒメウズラだ!えへへへ、初列が長いよう。距離はそんなに遠くない。わーい。やっと見れた。でもすぐに飛んで干潟の真ん中のほうに降りてしまってじっくりとは見れなかったが、とりあえず満足して帰路に着いた。珍しい鳥を3種も見れて楽しかった。電車賃高いけど・・・。

'98 9/28
藤沢市江ノ島
  舳倉島から帰って(舳倉島の旅行記、出現鳥は都合により掲載できません)次の日学校に行ったら後輩が「昨日江ノ島水族館の上空でグンカンドリを見ました。」と報告してくれた。信じてなかった。「ツバメちゃうん?」とかかなりヒドイことを言って打っちゃっておきながら、夕方、ツレの「ばいかだくん」って言う奴と一緒に江ノ島に見回りに行ってみた。だってグンカンドリ見たことなかったんだモン。そしたらなんと江ノ島の上をグンカングンカンって感じで飛んでいるじゃあないですか。鼻血ブー。あばばばば。←?しかも良く見ると2羽いるではないか。おにゃー!ご乱心。この時点で私はこれをコグンカンドリだと思い、知人に情報を流したが、後にオオグンカンであることが判明。(というかグンカンドリって調べれば調べるほど識別不可能になるんですけど。)とりあえずポケットカメラで2羽いる事がかろうじてわかる証拠写真を撮った。

 翌日学校に行く前に朝一番に別の友人「投網フィッシャーメン」とともに見に行ってみる。このときは授業時間までに現れなかったが、夕方また来たら見られた。昨日3人ぐらいにしか電話しなかったのに10人ぐらい知らん人が見に来てた。情報社会ってすごい。  これが後一ヶ月に渡りグンカンドリの識別について波紋を呼んだ「江ノ島グンカン事件」の始まりであった。
'98 9/30
  もう毎日グンカン漬け。そんな時大阪のクレイジーバーダーM村さんが仕事を休んで関東にやってきた。グンカンと時を同じくして千葉の印旛沼で珍鳥ハシグロクロハラアジサシが観察されたためだった。グンカンドリもついでに見ようということでわざわざ平日に休みを取ってこられたのだ。このとき私も学校があったはずなのだがなぜ私が彼に同行していたのかは記憶に無い。たぶん授業が無かったんだと思うんだけど。誓って言うが私はマジメ学生だったので授業をサボったことは一回だけしかない。(マジメなのか・・・?)話はそれるが、あれはこの後に行く舳倉島での出来事で、シロビタイジョウビタキを見ていたら船が欠航になって月曜日に藤沢に帰れなくなって授業に出られなくなってしまったのです。ほらね、不可抗力。(←いいわけ。)ま、そんなわけで夜明けとともにM村氏到着、最初に印旛沼に向かう。しかし・・・現地は雨。大雨。その中をショウドウツバメたちが飛び交っていた。

 ハシグロクロハラアジサシが現れるというポイントにはクロハラアジサシハジロクロハラアジサシは数羽ずつ止まっている。しかし肝心のハシグロがいない。雨が降りしきり視界は悪くやな感じだった。イタチがひょこっと顔を出していた。しばらく待ってみたが結局そこは諦めて、数日前にハシブトアジサシが観察された神奈川の多摩川にむかった。ハシブトアジサシは普通長居しない鳥なのでどうせいないやろ、と言ってちょっと寄って見たがやっぱりいなかった。ホウロクシギがぽつんとおった。  もうどうでもよくなって江ノ島へ。今日もたくさん人がきている。あんたたち仕事しろよ。(お前も学校行けよ。)相変わらずオオグンカンは上空をゆうゆうと舞っていた。
'98 10/01
 私はクレイジーバーダーと一部地方で呼ばれている。世の中もっと狂った人はいるんだけど、やっぱり2日連続で印旛沼とか行っちゃあクレイジーと言われてもしょうがないか。そうです、この日も行きました、印旛沼。同期のばいかだくん、投網フィッシャーメンと後輩二人を連れていざ出陣。ところが今日も雨。現地に着いてもやっぱり雨。やな感じだ。ただ昨日よりは雨も弱い。もう一台車が来てやはりハシグロクロハラを探している。しばらく待っていると他のクロハラアジサシに混じってヤバイのがいるのが目に入った。おおお!!こりゃヤバイ!いつの間に来たのかハシグロクロハラアジサシに間違いなかった。くちばしすてき・・・。上面の色が綺麗だった。

 しばらく雨に濡れるハシグロを我を忘れて見ていたら、飛んだ。飛んだ姿もまた何ともいえない。これまで見たことのない鳥だというのが一目でわかる。なんちゅうかこう、異国情緒丸出し。背中の灰色がすごく綺麗で気に入った。5人でニヤニヤしながら帰る途中に江ノ島に。今日は雨だから鳥屋さんもみんなヨットハーバーの軒下に集まっている。どこにいるのか思ったらなんと奴は松の木に止まっていやがった。松の木にオオグンカン・・・。うーん、和洋折衷。(違う気がする)
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