'98 12/25 |
私と大阪のM村さん、福岡のF君の3人は冬休み企画で無謀とも思える旅を実行した。大阪からMさんが車で東京へ。当時藤沢市に住んでいた私と九州から飛んできたF君が浜松町で待ち合わせ。ここから伊豆沼まで行き、仙台から車ごとフェリーで北海道まで行っちゃおうという狂った企画である。手始めに、北浦の餌付いているオオホシハジロをじっくり見て、銚子にカモメを見に行く。ところがこの日はあまりカモメがいなかったのでミミカイツブリを見たくらいで一路宮城県に走ることに・・・。 翌26日、夜明け前に伊豆沼について極寒の中夜明けを待つ。早朝にガンの大群の飛び立ちを見ながら鼻水を垂れ流し、白鳥の餌付け場を見る。「前ここでトモエガモがおったんやけど。」という話をしてたらF君が「トモエおるやん。」との一声。距離は近かったがまだ暗かったので写真をとるにはイマイチのようだ。我々はシジュウカラガンを求めて蕪栗沼に向かった。途中の民家にオナガがいたので「あ、オナガ。」と言ったら急ブレーキ。M村さんは大阪、F君は福岡だった。M村さんは「今年初めてやー。」、F君は「オナガを見るのは2回目やー。」・・・この人たち300種も400種も鳥見といて・・・。 蕪栗沼につくとたくさんのヒシクイとマガンが沼で休んだり採餌したりしていた。シジュウカラガンを探していると、なんとサカツラガンがいるではないか。ちょっと前から来ていたそうだが、我々は聞いていなかったのでビックリした。そこでサカツラガンを撮影していた男性は「3日粘ってやっと見れた!」と言っていた。うーん・・・。私たちってこんなところで運を使って良いのだろうか。いや、良くない。私なんて今までサカツラガンを見たことがなかったのに二週間ほど前に阿知須ではじめてみたのにあの苦労は一体?って感じですよねぇ。まぁ、そんなもんやろ人生なんて。フーンだ。沼の周りにはトモエガモの雌とかミコアイサとかその辺のカモ類とノスリやハヤブサなんかがいたがシジュウカラガンは見られなかった。っちゅうか渡来してなかったとか言う噂もあるが。この日は結局午後3時ごろまでゆっくりと鳥を見て、仙台の港から苫小牧行きのフェリーに乗った。 |
'98 12/27 |
船の中で目覚めた私たちは甲板に出て鳥をさがし始めた。なんか雪降ってた。津軽海峡の沖らしい。肝心の鳥のほうはイマイチだった。運転に疲れたM村さんは船室に帰って仮眠をとることにしたようだ。甲板に残った私とFくんはとりあえずそのへんのミツユビカモメとかシロカモメとか適当に楽しんでたが、だんだん北上するにしたがって鳥が出てきた。オオハム、シロエリオオハム、コアホウドリ、フルマカモメなんかを見てたらハイイロウミツバメが。Fくんに知らせると九州以外ではあまり鳥を見ない硬派九州男児Fくんは「はじめてみた〜」とご満悦。「これで今年はハイイロペリカン、ハイイロオウチュウ、ハイイロウミツバメとハイイロのつく鳥をいっぱい見たぞー。」と言っていた。・・・許せん。特にハイイロオウチュウは許せん。北海道海域に入るとウミガラス、ハシブトウミガラス、ウミスズメ、コウミスズメ、エトロフウミスズメなどのウミスズメ君Sがちょこちょこ出た。あとオットセイが流れてきた。
そしてお昼過ぎには苫小牧に入港。 とりあえず苫小牧港から近い北大演習林へ。入り口でキタキツネが道路を横切っていった。北海道って感じだ。餌台に来るカラ類とかカケス(亜種ミヤマカケス)、ヤマゲラ、アカゲラなどを見ていたらホオジロ類がいた。見るとミヤマホオジロだった。関東ではほとんどいないので久しぶりに喜んで見る。うーん、関西を思い出すなぁ・・・。個人的にミヤマホオジロファンの私は故郷を思い出しながらヨダレを凍らせて見入っていたが、突然、カラ類が叫び声をあげて一斉に逃げた。 「なんでやねん?」と思って振り向くとハイタカの雌が私のすぐ近くの木に止まるところであった。でもすぐ私に気付いて逃げた。何でにげんねん。その後しばらくたって林内に静けさが戻った頃、少し歩いて奥の方に行くとちょっとだけ周りが見渡せるところがあり、林の上を舞うオジロワシを見ることが出来た。 そのまま我々はシロハヤブサを見るため「名所」砂崎岬に向かった。途中登別で日が暮れるころ道路沿いで杭に止まるコミミズクを車中から見た。 この日は命をかけて車中泊する予定だったが、温泉に入りに行ったら、そこは宿もやっていて素泊まりだと結構安かった・・・気がする。(覚えてないけど) 翌日早くに出発し、砂崎岬に向かう。ところがF君がカメラがないと言う。すぐに物を忘れるカケスのようなF君のことだから、きっと宿に置いてきたんだろうとのことでとりに戻ることに。宿に入っていったF君、なぜか両手に上着やらカメラやら、カバンやら色々持ってニコニコしながら戻ってくるではないか。M村さんと「どんだけ忘れとんねん!」とツッコんだのは言うまでもない。 さて、砂崎岬に着いたがまだ暗いので明るくなるまで車をとめて待つ。薄明るい中、待ちきれなくなって灯台の周りの電柱を双眼鏡で見てみると、なんか白いのがとまっとるではないか。隣でF君も「あれっぽい・・・。」と言っている。車から降りて遠くからスコープで見てみる。シロハヤブサだ。なんか・・・拍子抜け・・・。明るくなってからじっくりと観察するがじぇんじぇん動く気配がない。とりあえず回りの海鳥も見ることにした。アカエリカイツブリとかビロードキンクロとか、オオハムとかウミガラスとかハシブトウミガラスとかそのへんのが泳いでた。結局砂崎で2時間くらいうろついていたら、シロハヤブサが飛び立ってなんかファンキーな動きをしていた。カモを襲っていたようだった。ゆっくり追いかけていくとシロハヤブサが地面に降りてなんか鳥を捕らえていた。邪魔しないように遠くからそーっとみていると、飛び立ったのでカラスより早くかけよって見たらホオジロガモの雌がバラバラにされていた。鮮血のついた頭が・・・。我々は記念にホオジロガモの羽根を少し持ち帰った。 私たちはシロハヤブサに別れを告げ、道東に向かって出発した。途中支笏湖に寄って行ったが、ほとんど収獲はなかった。その晩我々は危険な日勝峠を越えて道東に踏み込んだのでった。 道東に入る前、帯広で食堂に入り豚丼を食っていたら、M村さんの携帯が鳴り、なんか網走の方だかにハシジロアビがいるという情報が入った。しかもなぜか夏羽の個体だと言う。私たちはどないしょうかと悩んだ。しかし私は当時北海道ならではの鳥、ユキホオジロやヒメハジロ、チシマシギといった鳥たちにまだ出会えていなかった。(2年後の今はもう全部見てしまったが・・・。まさか関東で見れるとは思わなかったんだもん・・・)これらの鳥が見れるなら、ハシジロアビもずっといるとは限らないし道東に踏み込もうという作戦に出た。しかしこの選択がキレイに外れ、後悔するのはずっと後のことだった・・・。 翌29日、危険な日勝峠を乗り越えて早朝の走古丹に着いた。この頃はまだヒメハジロが渡来していた頃だ。私以外の2人はヒメハジロは以前の道東行きでもう見ているため、なんか余裕こいて「おっ、コクガン飛んでる♪」とか「ミミカイツブイリが10羽もおる♪」とか言っている。えーん。あ、ウミガラス。ああ、草地にハギマシコ・・・。海に目をやっても流氷の上にオオワシが沢山いるだけ。ヒメハジロは見られなかった。ぐはァ!神様のイヂワル!!ハシジロアビをけってまでこっちに来たのにわたしの見事な振られっぷりに2人は笑いをこらえているように見えた・・・。 流氷の浮かぶ海にうっすらと涙を浮かべたまま私は走古丹を後にし、納沙布岬に着いた。ここではコウミスズメやケイマフリなどが見られたが、あとはチシマウガラスがおったくらいで別にこれと言ったものはいなかった。ただ、灯台の下にコウミスズメが1羽死んでおり、手にとってじっくりと観察することが出来た。こんな小さいくせに外海に出てよく生きてられるもんだ。 今度はその回りの漁港を見てまわる。F君とM村さんはカモメ類に夢中だ。特にアイスランドカモメとかヒメクビワカモメなんていう変なものは見つからず、歯舞漁港に着いた。漁港の一番奥まで行くと、コクガンが一羽、波打ち際で海藻をはもはもしていた。近くに行っても全然逃げない。思わずいつもの悪いクセで「コクガンと私」というノリの記念写真を撮ってしまった。(他にシリーズ物として「ゾウゲカモメと私」、「オオホシハジロと私」などがあります。) 結局何もイイモノは出ず、夕方に去年M村さんがクマゲラを見たという温根沼林道の「クマゲラのねぐらっぽいポイント」へ向かう。当時私はクマゲラも見たことが無かったので必死に探したがそれらしい採餌音は全部アカゲラだった。 あまりの外しっぷりに結構やる気がなくなってきた翌30日、朝から春国岱に行く。昨日泊まった宿「風連」で得た情報ではここしばらくは春国岱では良くクマゲラが見られているというのだ。カラ類を見ながら歩いていく。クマゲラの採餌痕があるが声など気配が無い。しょーがないから林内に入ると、なんか聞きなれない声がした。「あ、イスカや。」とF君。こ、この男、南方系のクセになぜこんなのに詳しいんだ??ちらっと飛ぶ姿が見られた。 もう腹減ったし風連に帰ろ、と思ったとき、「ガーガー」と鳴く声が。3人とも「あれ?ホシガラスやぞ?」と顔を見あわせる。そーいえばこいつも見られているんだった。F君、九州人だからホシガラスは初めてだとか。毎日カササギを見ているほうが羨ましい気がするが、とにかくホシガラスもちょっとだけ見れて宿に朝食を食べに戻る。すぐに朝食になったがM村さん曰く「あごが凍って、噛めへん・・・。」 朝食後は春別川河口の白鳥の餌付け場に行ってみる。ホオジロガモとかその辺のカモメ類とかを見てたらM村さんが「なんかヤバイやついるんやけど・・・。」見てみるとオオホシハジロ。こいつ・・・数日前茨城で見て来たとこやん・・・。なんかこの年はオオホシハジロの当たり年らしく、北海道中で20羽くらい観察されていたらしいです。厚岸で12羽の群れを見たという人もいた。・・・観察センターみたいなとこの2階に登って遠くを見るとコクガンが17羽浮かんでた。ここいつもいるんだよなぁ・・・。 この日はユキホオジロなどがいないか探しに野付半島に行く事にした。道中海岸線でカモ類を見つけてはキタホオジロガモなんていう珍奇なカモがいないかと結構マジメに探し回ったがいなかった。いたら一大事だけど。 そんなこんなで野付に着いた。キタキツネがいる・・・。コオリガモやクロガモとたわむれながら岬の先端の方へ走っていくとコミミズクがカラスにいじめられて飛び回っていた。久しぶりのコミミにちょっと喜んでいると今度は目の前をヒゲぼうぼうのでっかいカラスがハシブトガラスに追われて横切るのが見えた。「ワタリや!!」もう肉眼でもワタリガラスだと確認できる距離だった。しかもその先にもう一羽いた。良く見るとそこらへんに魚のアラが山積みになっていて、ワタリガラスはそれに付いているようだった。カモメ類も群がっていたのでまたまた珍カモメ探しに取り組んだが普通種ばっかりだった。 1998年最後の日。このまま北海道を攻めつづける2人に対し、正月を実家で過ごしたいという常識的な(?)私は飛行機で徳島まで帰る事となった。早朝は春国岱でクマゲラを探したが、出てきたのはオオアカゲラだけだった。アトリとかマヒワとかに見送られながら春国岱を後にし、朝食後は釧路空港に向かった。途中にあるガッカラ浜というところにケアシノスリが出ているというので、帰りがてら探すことに。しかしこれも見られず、かわりにハイイロチュウヒの雌がいただけだった。なしてこんなに外すのかいねぇ。最後に阿寒町で北海道の想い出にタンチョウを見て、私は一人飛行機に乗った。羽田空港から徳島行きに乗り換え、実家に着いたのは夜11時近かった。オイオイあと1時間ではっぴーにゅーいやーとか言わなあかんのかいな。 後日、その後の旅でばっちり夏羽のハシジロアビを見たという二人の自慢話を聞かされ、一人枕を濡らすのだった・・・。 |