高原の便り(No.66)
○ 餌台の冬
皆さん,お変わりありませんか。
当地薮原高原の今年の冬は,格別に雪が少なく,昨年12月に入って一度に降り積もった40〜50センチの雪がそのまま根雪となり,今年に入ってから降る雪の量は極めて僅かですが,それがカリカリに凍てついた根雪の上に粉雪となって折々に積もりますので,見た目には例年と変わりない美しい一望の雪原を見せています。
ところで,我家では,山小舎の南面した窓際に餌台を設け,四季を通じて小鳥達に餌を与えています。対象はもっぱらカラ類であり,餌は主としてヒマワリの実,折々にパン屑やピーナッツを与えています。
訪れる鳥達の数は春,夏,秋はごく少数ですが,12月に入ってあたりの山々が雪に覆われますと,その数は俄然多くなり,各種のカラ類が混成の群れを作って,もうその日からやってきます。常連と見られるカラ類の種類と数は四十雀と山雀が5〜6羽,小雀が4〜5羽,五十雀と日雀が2〜3羽です。これらは混成した群れを作り,朝早くから夕刻まで,1〜2時間おきに姿を見せますが,その数は必ずしも一定しておらず,数羽のときから十数羽のときもあります。
訪れた鳥達は,全部が一斉に餌台に集まるのではなく,一羽ずつが交互に入れ替わり立ち替わり餌台にとりつき,一粒ずつを近くの木の枝に運んで,ゆっくり食べ始めますので,これらの鳥達が偶々同時にやって来ますと,その総数は20羽近くにもなり,餌台の周りの木の枝は順番待ちの鳥達で一杯になります。
偶々訪れた地元のバードウォッチャーがこの有り様を見て,「こんな沢山のカラ類の群れを見るのは生まれて初めて…」などと驚きの声をあげましたが,私共にとりましては毎日のことであり,格別の驚きでもありませんが,鳥達にもそれぞれ多少の個性があり,コタツにあたりながら,2〜3メートルの至近距離からそれらの動作を眺めているのは冬場の楽しみの一つです。
○ リスの珍事
この餌台には,小鳥達の他に3匹程のリスがやって来ます。連日姿をみせることもあり,数日の間ぱったりと現れぬこともあります。一番小さい子リスは,毎朝一番に姿を見せるのを常のこととしていますが,それだけに数日も姿を見せませんと,家の周りにはのら猫がうろついているだけに,家内は格別に心配しているようです。
このリスは割合おっとりとしていて,ガラス戸が閉まっている限り,私共が1メートル近くまで近づいても逃げようとしませんし,一旦餌台にとりつくと,順番待ちの小鳥達を無視し,餌台を独占して動こうとしませんので,家内などは折々にはガラス戸をコツコツ叩いて交替をうながしているようです。家内の話によりますと,ある日業をにやした山雀の一羽が,いきなり後ろからこのリスにぶつかったそうです。不意をつかれたリスは,餌を食べながら前につんのめり,一瞬びっくりしたように辺りを眺めた後,さすがのことにこそこそ立ち去ったそうです。あながち山雀の意識的行動とも思いませんが,全くの偶発とも思えない珍事件のようでした
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平成7年7月 『三光鳥便り』第66号
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