野鳥の短歌・俳句
この部屋は、管理人が独断と偏見で選んだ野鳥の短歌及び俳句(京都野鳥の会会員による作品)を掲載するものです。/掲載された方、もしご迷惑でしたら、ご一報ください。/もし他薦、自薦に関わらず、掲載したら…という作品がありましたらお知らせください。/横書きで読みにくい点はご了承ください。蘚寺の庭に人無き春の晝もずさえづれりめじろを真似て
つばめ飛ぶ宇治大橋の三の間に白雲あふぐ初夏の朝
朝の茶をすすりてあれば窓の外にさんくわうてう啼く黒谷の寺
時ならぬ椿の花をよろこびてめじろ友よぶ山かげの寺
目を閉ぢて日ねもす鳥をききておはす瑠璃の御堂(みだう)のおんほとけかも 川村多実二
雪どけの笹濁りたる浅瀬三つ小鷺動かぬ裏町の朝
鴨川の瀬にも小鷺の佇みて思案顔なる三月の朝
春うらら並ぶ小鷺の色冴えて保津の川瀬の水ぬるむなり
白鷺の翼に光る夏の陽の青田爽かに風にそよげり 松本貞輔
月あげし樹海夜鷹の声きざむ
郭公や苔生小栂の高きより
大瑠璃や天領の杉真青なる
鴨鳴くや投げ網古ぶ番屋裏
大森春子
山越の鶫をりをり養花天
葦原の雲より落ちて鵙猛る
乾びても流木重し雁の頃
翁忌の野に光撒く尉鶲
細川玲子
虎鶫鳴けり早寝の行者宿
留袖の帯締むるとき雉子の声
神子秋沙見るとき忽と潜りけり
長き尾のこちらに向きし三光鳥
上村佳与
ほととぎす奥峰雲を育てつつ
降る雪や梢の鴛鴦みじろがず
野鶲(のびたき)や湿原はまだセピア色
小啄木鳥鳴く新樹に沈み皇女塚
井上環
郭公の一声毎に森明くる
百合鴎己が孤影とたはむれり
一羽居て田鳧儒者めく干拓田
芽起こしの風に声研ぐ四十雀
細川十雨